『My Story』
~ミホ・ワールド~
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授からなかった命のコト

恋をした。

恋に落ちた。

愛した、愛された。


わたしたちは
避妊をしないで
愛を交わし合った日があった。

それは
わたしの勘違いからのことだった。

子宮のレーザー手術を
受けたことのあるわたしは
手術前に
なるべく情報を集めた。

『レーザー手術をすると
妊娠は不可能になる』
集めた情報の中には
そう書かれた手記もあったので
わたしは、それを鵜呑みにした。

恋人と愛を交わし合う途中で
わたしはその手記をふと思い出した。
妊娠しない体なんだ。
抱きしめられながらの高揚感の中で
わたしは恋人に
今日は避妊具をつけないで欲しいと
懇願した。

戸惑いの様子を見せた恋人は
それでも
避妊具を使おうとしていたけれど
わたしは言った。
「だって、子宮の手術をしたのよ。
妊娠の心配は何もないのよ」

わたしは
快楽が欲しくて避妊具を拒んだわけでは
なかった。
ただ、ただ、出来るだけあたたかな
そのぬくもりを...
ぬくもりそのままを
わたしの全部で感じたかった。

恋人はわたしの提案を了承した。
避妊具をつけずに
その日、わたしたちは
愛を交わし合った。

愛し合った直後に
恋人は少しだけ考え込んでいた。
「前回の生理いつだっけ。
今度の生理の予定は?」

わたしは前回の生理日と
次回の生理日の予定を答えた。

彼はやはり考え込んで
「ねぇ 生理があるってことは
妊娠しないとは限らないんじゃないか」

着替えもしないまま
スマホを手に
わたしはネットで調べ直した。

『手術をしたら妊娠不可能』は
今となっては古い情報だったのだ。

最新の医学では
子宮を手術しても
数ヶ月後からは妊娠は可能だという
真相を知った。


恋をした。

恋に落ちた。

愛した、愛された。

愛する人の子供だったら
産みたいに決まってる。
愛する人の子供だったら
欲しいに決まってる。

でも

妊娠を喜んではいられない
ふたりには事情があった。
そのうえ
わたしは
それこそ今の医学では
治りようのない
大きな大きな病いを抱えている。

どんなに願っても
望んでも
決して妊娠はしてはいけない。

それからしばらくの間
わたしたちは妊娠の心配をしたけれど
赤ちゃんは授かってなかった。

ホッとしたと同時に
とてもとてもとても寂しかった。


宿らなかった命に
ふたりで名前をつけるために
小さな小さな縫いぐるみを買った。

名前は彼がつけた。
「アムがいいんじゃないか」と言った。
男の子か女の子かわからない命だから
そういう名前をつけたいと言った。

わたしは
その『アム』に漢字を当てはめた。
愛を結ぶ、と書いて
『愛結』=『アム』
授からなかった命に名前をつけた。


恋をしている。

恋に落ちている。

愛した、愛された。

もっと早くに彼と出逢いたかった。
そして
堂々と命を授かりたかった。
病いになどなりたくなかった。
愛して愛されたなら
そのまま自然に
産める体でありたかった。

来世で巡り合っても
きっと わたしは彼に恋をする。

そのときは
あの日、授からなかった命を
ふたりで手放しで喜ぶことができたらと
願う。


恋をした。

恋に落ちた。

愛した、愛された。

来世で巡り合っても
きっと、きっと
わたしは彼に恋をする。
宿らなかった命を
来世では宿したい、授かりたい。


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